【2020年度版】野尻湖のウィードについて
こんにちは!店長の小山です!
本日は私、野尻湖ナウマンゾウ博物館へ出掛けまして、野尻湖の水草・ウィードについて勉強してきましたのでその様子をお伝えさせていただきます。
ここ数年で一気に増えた野尻湖のウィードについて少しは詳しくなってまいりましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
野尻湖の水草展
野尻湖ナウマンゾウ博物館では、2020年11月30日(月)まで、「野尻湖の水草展」が開催されています。
本来であればよりフラットな視点で楽しむべき企画だと思うのですが、私としましてはやはり、釣り人目線で楽しませていただいてしまうというものです。
ここ数年で野尻湖のウィードが増えてきたというのは実感していたものの、昔からの詳しい経緯やどういった種類のものが生えているのかなど、分かっていたことが少なかったので、この企画は非常に興味深かったんですよね。
先日、知り合いのフェイスブックの投稿でこの企画が催されているのを知ったのですが、先日ちょうど私のツイッターのタイムラインにも野尻湖のウィードが話題が上がりましたので、ここぞとばかりに(?)出かけてきた感じです。
野尻湖ナウマンゾウ博物館へのアクセスと館内案内
まずは野尻湖ナウマンゾウ博物館へのアクセスです。
車で行く場合
- 国道ルート・・・国道18号線 → 信濃町 → 野尻湖入口(野尻バイパス) → 博物館
- 高速道路ルート・・・上信越自動車道信濃町I.C → 貫の木交差点 → 野尻湖入口(野尻バイパス) → 博物館
信濃町I.Cから約5分 ナウマンゾウ親子像が目印 無料駐車場完備
電車で行く場合
- しなの鉄道北しなの線 黒姫駅よりタクシーで約10分
黒姫駅からのタクシーは
しなの鉄道黒姫駅からタクシーを利用される方は、タクシーの初乗り料金が無料(普通:700円、ジャンボ:920円)になる【タクシー初乗り補助券】を利用できます。タクシー初乗り補助券は、駅観光案内所、黒姫駅窓口、道の駅しなの等で配布しています。
詳しくはこちらから
到着するとかっこいいナウマンゾウがお出迎えしてくれます。ナウマン銅像?
入り口を入るとすぐ受け付けがありますので、手指のアルコール消毒をして、料金を支払って入館します。
料金は大人500円、小中学生は300円です。
JAF会員証やクーポン等があると50円の割引が受けられます。クーポンはウェブ上にもあるようなので一度検索されてから行かれると良いかもしれません。
館内は個人で楽しむ場合は写真撮影自由です。ただし、このようにホームページなどに公開する場合は節度を持っていただければOKということでした。
また館内はCovid-19の感染拡大防止を徹底しており、注意書きがありますので従うようにしましょう。万が一クラスターが発生しても追跡できるように、連絡先記入票がありますので、必ず記入するようにしましょう。(2020年9月21日現在)
ソーシャルディスタンスを保てるように、上の写真のような目印が床に貼られていますので、前の人が詰まっている場合は慌てずに待ちましょう。
階段を上ると2階はナウマンゾウのコーナーとなっています。
これはこれで非常に興味深いのですが、今回はスルーいたします(泣)
お時間のある方はぜひ見ていってください。大迫力のスケールに圧倒されますよ!
ではちょっと入口まで戻ります。
野尻湖の水草展は3階です。ナウマンゾウの部屋に入る手前の左側にエレベーターと階段がありますので、どちらかで3階へ向かいます。
3階に上がるとこんな感じです。
とてもワクワクします。
野尻湖の水草とウィードについて分かったことまとめ
ここからはあまりにもネタバレしてしまうのはよろしくないと思いますので、抜粋してレポートさせていただきますね。
野尻湖のウィードの歴史
上の写真は大正から昭和初期のころの野尻湖だそうです。岸際にはアシやガマが生えていたようですが、沖にはウィードがありませんね。
私はずっと昔から野尻湖はウィードだらけの湖だと思っていましたが、違うようです。
野尻湖がウィードだらけになったのは1970年代の高度経済成長期に流入河川が富栄養化したのがきっかけだったようです。
この時に外来藻のコカナダモが入ったようで、いろいろな要因が相まってウィードが爆発的に増えて船のスクリューにまで絡むようになったということで、藻を食べるソウギョが1978年に放たれたということです。
しかし適正な量の10倍の量のソウギョを放流してしまったため(やっちまった)、ウィードは3年という短い期間で瞬く間に食い尽くされてしまったとか。
するとエビや小魚の生息域も減り、水質悪化も招き、赤潮も発生したということで、地元住民の有志が集まって野尻湖水草研究会が発足、長野県環境保全研究所、野尻湖漁業協同組合、野尻湖ナウマンゾウ博物館などのみなさんが20年以上かけ、元の環境に戻す取り組みをなさって来たんだそうです。
野尻湖の水中の生き物は、動物も植物も、人間によって激動の歴史を歩んできたんですね。
ちなみに、水草には大きく分けて4種類あり、
- 根っこが水中に合って茎や葉が空気中に出るのが抽水(ちゅうすい)植物といい、アシやガマがこれにあたります。
- 根っこが水中に合って葉っぱだけ空気中(水面)に出るのが浮葉(ふよう)植物といい、ジュンサイ、ヒルムシロ、ヒシモなどがこれにあたります。
- 葉も茎もすべて水中にあるのが沈水(ちんすい)植物と言い、クロモやエビモなどがこれにあたります。
- 根を持たず、水中や水面を漂う植物を浮遊(ふゆう)植物と言い、ウキクサ、サンショウモなどがこれにあたります。
野尻湖でバス釣りをするときに気になるのはウィードですが、これは沈水植物に分類されるんですね。
野尻湖に生えるウィードの種類
1970年代当時から野尻湖水草研究会をはじめとする方々が水草を増やす努力を長い間されているのですが、水中にはまだ多くのソウギョがいるので、いくら水草が生えたとしても、また食べられてしまいます。
適性の10倍の量のソウギョですからね、もしかしたらもう水草は根絶やしになってしまったかもしれない、そう思いますよね。
そこで、1995年ごろからソウギョが入れないようにビオトーブというバリケード的なものを作って実験をしたところ、そこには水草やウィードが生えてくるのが確認できたそうです。
ソウギョの食害で野尻湖の水草やウィードは絶滅してしまったかに思えたのですが、そうではなかったようです。
1980年ごろから食べられ続けた水草たちですが、まだ発芽しない生きた種が残っていたんですね。
植物の生命力とはすごいものですね。
現在になると、特にここ数年でソウギョの個体数は減り、ほかにも地元の小学生や地元ボランティアの方々の協力による植栽活動の成果もあって、水草やウィードは急速に戻りつつあるようです。
現在、野尻湖で確認されている主なウィードは以下の通りです。
ほかに、絶滅してしまったものとしてホシツリモという藻もあったようです。
ホシツリモは野尻湖の他に芦ノ湖、河口湖、山中湖の4つの湖でしか確認されていない種だそうで、残念ながら現在は確認されていないようですが、昔、まだ野尻湖にホシツリモが生えているときに、研究のために野尻湖から採取されたサンプルが大阪の大学に残っていたようで、今はそれの再移植を試しているのだそうです。
またコカナダモによく似たクロモという在来ウィードもコカナダモに駆逐された感があるようですが、サンプルは展示されていなかったものの、現在は確認されているようです。
イトモやシャジクモのような細いウィードはソウギョの他にブルーギルもプチプチとちぎって食べてしまうようですが、その辺は今後どうなるのでしょうかね。
10年前と現在の水中映像
さて、この野尻湖の水草展、私たちバスアングラーにとってヨダレが出そうなほど面白いものが他にも展示されていました。
野尻湖水草研究会によります湖底調査の様子が映像として残されているんですね。
非常に美しい映像で残されています。ここでは大崎沖、砂間ヶ崎沖、城帰り沖の3ヶ所で検証されたものが公開されていました。
ちょっとだけ動画でお見せします。(申し訳ありませんが無音&画質を落としております)
これはほんの数秒に編集しましたが、実際は4分ほどの映像です。立ち止まって何度もループしてみてしまいましたよ(笑)
そうそう、バスが映っていたのでテンションが上がってしまいましたが、その前に砂のボトムにヨシノボリがいたのが分かりましたか?
あれはキャロライナリグが釣れるわけですよ…(笑)
ということで、やはり野尻湖での釣りが好きな方にとってはとっても魅力的な内容になっていると思われます。
今回ご紹介させていただいた内容はほんの一部ですので、興味のある方はぜひ実際に野尻湖ナウマンゾウ博物館へお出かけいただければと思います。
実際のところ、これがバス釣りにとってどれだけプラスかと言われれば、さすがにそこまでの即効性はないのですが、野尻湖のことがますます好きになり、結果として釣りも上達するのではないかと思いますよ。
おすすめのおみやげ
あまり関係のないことになりますが、ナウマンゾウのことにも改めて触れてきたことで、食べたくなってしまったものがありましたので、ちょっと帰りに寄り道しました。
野尻湖ナウマンゾウ博物館から国道18号を長野方面へ約5㎞、時間にして10分くらい走りますと、ファッションセンターしまむらの隣、道路右手に見えるのがお菓子の「まつりや」さんです。
ここのお菓子は和菓子も洋菓子もみんな美味しいのですが、ナウマンゾウ博物館のおみやげとしてはこれしかありません。
その名も「ナウマン小象」!!
もちもちのパイにぎっしりとくるみ餡の入ったお菓子で、私の大好物でございます。
そのまま食べてももちろんいいのですが、家に帰ってオーブントースターで少し温めると皮にパリパリ感が出てめちゃくちゃ美味しくなります。
1個150円ですのでよろしければお試しくださいね。
さて、野尻湖のナウマンゾウ発掘調査の時に、水草の化石が一緒に発見されたそうです。
ということは、人間が誕生する何万年も前から営まれてきた水草やウィードたちの野尻湖での生活があったんですね。
人間の手が入ってしまったばっかりに、それ以降、彼らにとっては激動の時代となってしまいました。湖はもう完全に元の姿に戻ることはできないかと思いますが、そのぶん私たちは野尻湖に住む生き物に感謝し、少しでもみんなが住みやすいような環境を保てるようにしなければならないと感じました。
釣り人である私たちももちろん、水中のあらゆる生き物の恩恵を受けて、楽しませてもらってるんですもんね。
ここ数年、野尻湖で釣りをされていないという方がいらっしゃれば、ぜひ一度、最近の野尻湖の姿を見てみてください。
まったく新しい湖に生まれ変わり、また新しく攻略のしがいがあるのではないかと思いますよ!
それではまた。
毎度ありがとうございます!