アメリカでのシマノDCリール事情はどんな感じ?【SHIMANO SLX DC&Curado DC】さらに2022NEW SLX DC XT登場!
ハイテク化が進むバス釣りタックルの先駆けとも言えるシマノのDC(デジタルコントロールブレーキシステム)搭載のリール。日本では完全に定着したブレーキシステムですが、アメリカではどのような感じで扱われているのでしょうか。
こんにちは!店長の小山です!
本日は海外サイトより、”THE ELECTRONIC ANGLER – SHIMANO BRINGS “DIGITAL CONTROL” TO THE MASSES”という記事を引用してご紹介いたします。
ハイテク化が進むバス釣り業界。
ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、通信技術、AI…世界の大きな科学技術の進化とともに、釣具も進化していくものです。
目立つところではエレクトロニクスの恩恵が大きな割合を占めるもの、たとえば魚探、エンジン制御があると思いますが、ロッドやリール、ラインやフック、サングラスやウェアに至るまで、すべてのものに使われる素材そのものや理論の進化により、目立たないところも大きく変化しています。
その中のひとつに、シマノから発売されているDC(デジタルコントロール)ブレーキ搭載のリールも含まれると思います。
DCはキャストの時に回転するスプールを電子制御して、ルアーの飛距離を伸ばしつつ、バックラッシュを防ぐというもの。
このリールの登場により、初心者の方がベイトリールのメリットを速い段階から最大限に使うことができ、バス釣りの成長を大幅に短縮することができたのではないかと思います。
もしかしたらこの先、AIにより電子制御で絶対に釣れるルアー、狙ったところに自動で投げてくれる自動運転タックルなんかも誕生するかもしれませんね。
話は変わりますが、パチンコやパチスロをやった方しかわからない例えをしますが、パチンコはデジタルが回るセンサーを玉が通った瞬間、パチスロはレバーを叩いた瞬間にアタリかハズレかがすでに決定しています。
あとは液晶画面やリールがそれっぽい演出をして、アタリやハズレが確定するまで人間は見ているだけというゲームなんですよね。(もう何十年もパチンコ屋さんに入ったことがないので昔の知識です。今は違うのでしたらすみません)
それと同じように、バス釣りもロッドを振った瞬間にそのキャストが釣れるかどうかが確定し、分かってしまうみたいな世界になるのかもしれません。だったらもう、バーチャルの世界でもいいじゃないかという感じになってしまいますけどね。
さて、そんなハイテクタックルの先駆けとも言えそうなデジタルコントロールブレーキのシマノのリールですが、アメリカでは今、どんな評価をされているか知っていますか?
この記事は、アメリカのゲーリーヤマモトの公式HPのブログ「INSIDE-LINE」の記事で、シマノのDCリールについての見解がシェアされています。
日本では完全に定着しているDCリールですが、アメリカではどうなのか。ちょっと古い記事ですが、興味がある方は読んでみてください。
また、最後に2022年に発表されたSLX DC XTについても少し触れていますので、よろしければ最後までご覧くださいませ。
DCも進化した
シマノを長年にわたり使っているユーザーや日本のハイエンドリールが好きなアングラーであれば、シマノは以前にもカルカッタDC(2004)とアンタレスDC(2006)(アメリカではキャレイDCという名前)が発売されたため、これがシマノ初のDCリールではないことはご存知でしょう。 初期のDCリールは両方とも非常に高評価を受けていましたが、釣り人にはやさしくない価格でした。カルカッタDCは500ドル、アンタレスCは650ドルです。
法外な価格と初登場のテクノロジーによる未知のパフォーマンスという2つの面で、一部の熱心(そして裕福)なファン以外には目立った改革はもたらされませんでした。
シマノが最初のDCリールをリリースしてから15年間、テクノロジー業界では多くのことが起こりました。iPhoneなど他のテクノロジーとともに、私たちは長い道のりを歩んできました。 新登場のCurado(クラドDC)とSLX DCのデジタルコントロール部分は、アンタレスDCやカルカッタDCのそれと似ていますが、第1世代のiPhoneと同じように、新しいものの方が優れています。
DCのしくみ
この技術が登場する以前は、スプールのブレーキシステムには遠心とマグネットの2つが業界の標準でした。遠心ブレーキシステムは、スプールが回転すると、遠心力によってブレーキシューが外側に移動し、スプールに当たってブレーキがかかります。マグネットはダイヤルによって磁石とスプールまでの距離を調節し、磁気でブレーキがかかるものです。磁石をスプールに近づけるほど、ブレーキ力は強くなります。
シマノのDCテクノロジーは、キャストするとスプールの自然な回転運動により微量の電力が発生し、マイクロチップに電力が供給されます。このチップは、スプールの回転速度データを1秒間に1000回収集し、制御アルゴリズムと組み合わされ、特許取得済みのデジタル制御電磁ブレーキシステムがスプールにかかる、または解放されます。
チップには、効果と使いやすさの両方を最大化するために、4つの「ブレーキプログラム」があらかじめ設定されています。このプログラムをアングラーの目的に合わせることで、この新しいバージョンのDCテクノロジーは、以前のバージョンや他のブレーキシステムとは一線を画しています。
4つの設定
価格以外でも、以前のDCリールがあまり浸透しなかった他の要因の1つに、セッティングの複雑さと時間がありました。 シマノのエンジニアは、効果を維持しつつ操作を簡単にするために、新しいクラドとSLXは新たに設計し直しました。
ブレーキ設定は4つしかなく、各リールには、どんな風に使用するかの簡単な使い方が説明書に書かれています。各設定の推奨される使用法は次のとおりです。
設定1は、最も弱いブレーキ設定ですが、スプールがフリースになりすぎないように設定されています。これは、上級者アングラーや、リップレスクランク、ペンシルベイト、メタルジグといった普通に使ってもバックラッシュしにくいルアーに使用すると効果的です。
設定2は、ナイロンやPEといったより細いライン用で、多くのルアーや釣り方に対応できます。
設定3は、より太いライン、特にフロロカーボン用で、多くのルアーや釣り方に対応しています。
設定4は、最もブレーキ力が強い設定で、桟橋などでのスキッピング、強い向かい風にキャストしたり、ベイトリールの初心者アングラーが使いやすい設定です。
本当にバックラッシュしないのか?
グーグルで検索してみると、確かにシマノが残した功績がまず出てきます。YouTubeには、新しいDCリールをちゃんと設定すればバックラッシュしないという動画がわんさか出てきます。 シマノがこのテクノロジーをアングラーに優しい200ドル以下の価格で市場に出すことができたという事実も注目に値します。
シマノは、新しいDCリールなら絶対にバックラッシュしないと断言しているわけではありませんが、動画を見れば、嫌なバックラッシュを減らすのには確かに効果的のようです。
新しいDCリールがどんなアングラーや釣りに向いているのかと言えば、皆さんはディープクランクやスピナーベイトなどバックラッシュしやすいルアー、また桟橋などシャローカバーへのスキッピングなどバックラッシュしやすい釣り方に向いていると思われているようですが、どんなアングラーにも、どんな釣り方にも日常的に使えるメインタックルになるということができます。
これは2020年3月の記事ですので少し前の記事になってしまうのですが、それ以前の、クラドDCとSLX DCが発売されるまで、他のDCリールはあまり普及していなかったというのはちょっと意外ではなかったでしょうか。
新しいもの好き、オープンマインドな性格なイメージのあるアメリカですが、DCリールの普及については日本よりもかなり遅れているようです。
その原因はよくわからないのですが、アメリカのバスタックル市場は、日本よりも低価格帯がボリュームゾーンであることがその理由のひとつなのだと思われます。
メジャーリーグフィッシングやバスマスターのトッププロたちでも、使っているロッドはだいたい2万円前後が相場なんですよね。
そこで、ちょっと裏付けを取ろうと思って調べてみました。
まず、2022年1月21現在のアメリカのアマゾンでの売れ筋リールのランキング100位を見てみました。(アマゾンのランキングはあまり信用できないのですが、100位まで見ればまあまあ信頼できるかと思ったので)
ただし、アマゾンのランキングは1時間ごとに更新されるため、リンク先と下の画像とは食い違いが出てきます。ご了承くださいませ。
ベイトリールの売れ筋と書いてしまいましたが間違いで、すべてのリールの売れ筋100位までのランキングでした、申し訳ありません。
その中でバス用に使われるベイトリールのみを抜粋したところ、上の13機種がラインナップされていました。(めっちゃ少ないですね)
あくまでも2022年1月21日現在のものですが、シマノのSLX DCが全体の25位、ベイトリールでは2位にランクインしていますね。
注目すべきは価格帯で、日本円にするとだいたい4,000円から15,000円がボリュームゾーンということが分かりますね。
続いてアメリカ最大の釣具通販会社タックルウェアハウスの売れ筋ベイトリールを見てみます。
タックルウェアハウスはランキング形式ではありません。また、売れ筋とはいうものの集計期間など詳しいことが公表されていないと思うのですが、このようなページが用意されています。
このページでは7機種のうち、シマノのクラドDCとSLX DCの2機種がラインナップされています。うーんこれはすごい。売れているんですね。
またここでの価格帯は日本円換算で10,000円から20,000円と、アマゾンの価格帯を大きく上回っています。
これは、タックルウェアハウスが釣り具専門店ということで専門性が信頼感を生み、高額商品が売れやすいか、アマゾンよりも高所得な客層に利用されているのかと思われます。
では最後に、日本のアマゾンのベイトリール売れ筋ランキング100を見てみましょう。
これもあくまでも2022年1月21日現在のものです。
しかしすごいですね。ベイトリールトップ100のうちのほとんどがバス用リールなんですね(ちなみに1位から10位まではバス用は3機種、後の7機種はワカサギ、クロダイ、ジギング用などが多かったです)
内容は上位33位までにメインのDC機種が入っていますし、他のDCリールも100位には余裕で入っていますね。日本ではかなり浸透している証でしょう。
また価格帯を見ると(不当な高額値付けも多いので高値の方はあてになりませんが安い方の価格を見ると)、アメリカのランキングよりずっと高い価格帯の商品で埋め尽くされているのが分かりますね。
これが文化の違いでしょうか?
いえ、アメリカの方がバス釣り人口が圧倒的に多いので、平均価格が下がるのは当然です。ですので、この表だけでバス釣りの文化の違いというのは早計ですよね。
このSLX DCが日米ともに高い順位にランクインしているのがその証拠で、やはりこの価格帯でDCリールを発売し、アングラーのニーズに応えたシマノは素晴らしいと言えると思います。
技術の進歩は、性能が上がっていくと同時に価格も下がっていくことに繋がっていきますので、これから先も魚探やエンジンなど高額商品でも徐々に値段が下がっていき、普及率は徐々に上がっていきます。
同じように、私たちが望もうと望むまいと、あらゆるニーズに応える製品は出てくるはずです。
たとえば、自動車の世界では、オートマ車とAT限定免許が出たとき、マニュアル車の愛好家からは「そんな車運転して楽しい?」という批判がありました。自動運転補助システムが出た時もそうです。
しかし結果として免許取得にかかる費用は減り、女性ドライバーが増え、交通事故死亡率(件数ではなく率)は減っていったと言えますし、今ではマニュアル車を探す方が難しいですし、車体の価格は昔とあまり変わりないとしても、今は何らかの事故防止の自動補助システムが付いている車がほとんどです。
望もうと望むまいと、初心者に優しい社会(バスにとっては迷惑?)になっていくのは間違いないと思います。
もしかしたらゆくゆくは本当にバーチャルの世界でバス釣りが完結してしまう世界が生まれるかもしれません。
おそらくそれは国や文化や国民性の違いでばらつきはあると思いますが、それをどうこう思ったり、他人の判断をどうこう言うよりは、自分は変わっていく今の世界をどう楽しむかを考え、自分が好きな世界、自分が目指す世界のために時間を使うべきだなと思います。
すみません、DCリールが発売されたときはそんな風に考えていなかったのですが、その後の技術の進歩をみているとこんな壮大なことまで考えが巡ってしまう事態になってしまいました。
道具は人それぞれ、自分にあったものを良しとして楽しむものです。
他人の評価ではなく、自分が好きだと感じた物を使い、自分と違う価値観を批判などしないようにしましょうね。
シマノから新しいSLX DC XTが発売!
そして2022年1月、シマノから新しいSLX DCが発表されました。
それがこのSLX DC XT。
XTというのはシマノ製品の先発部隊の製品をグレードアップしたエクストラモデルのこと。
公式HPによると、
軽量ルアーからビッグベイトまでカバーするテクニカルバーサタイルモデルです。洗練されたロープロボディに、カルカッタコンクエストDCで評価の高いI-DC5ユニットをインストール。遠投性能、対バックラッシュ性能に優れ、風などの気象条件に強いDCの特性に一層の磨きが掛かりました。
シマノHPより
ということでこれまでのSLX DCに、新しいDCユニットであるI-DC5が搭載されました。なぜか比較モデルとしてカルカッタコンクエストDCの名前が挙げられていますが、比較対象として分かりやすいのはスコーピオンDCだと思うのですが、なぜコンクエDCなんでしょうね。
SLX DC XTにはI-DC5のほか、目立つ変更点としてはX-Ship、マイクロモジュールギア、MGLスプールⅢになっているところです。これはつまり、21スコーピオンDCと全く同じ装備になったということです。
これにより価格帯もスコーピオンDCとほぼ同じになりました。
では、どのあたりがスコーピオンDCと違うのか、表にしてまとめてみます。
SLX DC XT | 21スコーピオンDC | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
品番 | 70 | 70HG | 70XG | 150 | 150HG | 150XG |
ギア比 | 6.2 | 7.4 | 8.1 | 6.2 | 7.4 | 8.5 |
最大ドラグ力(Kg) | 5.5 | |||||
自重(g) | 195 | 215 | 225 | |||
スプール 径(mm)/幅(mm) | 33/21 | 34/25 | ||||
糸巻量ナイロン (lb-m) | 12-100,14-90,16-80 | 12-130,14-110,16-100 | ||||
最大巻上長 (cm/ハンドル1回転) | 64 | 77 | 84 | 66 | 79 | 91 |
ハンドル長さ(mm) | 42 | 42 | 45 | |||
ベアリング数 BB/ローラ― | 7/1 | |||||
本体価格 | 35,000円 | 37,500円 |
表を見て分かりやすい違いは、自重、ハイスピードモデルのギア比、スプール径、ギア比とスプール径の違いによるハンドル1回転あたりの最大糸巻量の違い、そして価格です。
この表から読み取れることは、どちらのリールも幅広い重量のルアーに対応しながら、SLX DC XTの方がスコーピオンDCと比べてより軽量ルアーを扱いやすく、重いルアーを遠投するにはスコーピオンDCの方が向いているということでしょうか。
また、表では読み取ることはできないのですが、価格と自重から推測すると、耐久性という意味ではスコーピオンDCの方が優れている可能性があるかもしれません。ただしその耐久性は、毎日釣りをして数年間使ってはじめてその差が出るくらいかもしれません。このくらいの価格帯になると基本性能自体が本当に優れていますからね。
まあ、このあたりは、使っていない私が何かを言うことはできません。
ひとつ言えることは、やはり、メーカーさんは私たちの細かいニーズに対応し、それに合った製品を常に提供してくれるということですね。
道具は多ければ多いほど選ぶのに迷ってしまいますが、良い道具に出会った時の喜びは大きいものです。
この記事がお役に立つかどうかはわかりませんが、自分に合った道具を探し、釣りをエンジョイするための参考になれば幸いです!
それではまた。
毎度ありがとうございます!