バスの代謝と活性

2020年11月8日

バスの代謝と活性
Photo by lure net.com

冬が近づくと、バスの代謝は落ち、活性も下がっていくと言われています。詳しいことは知らなくても、なんとなくそれは分かりますから、バス釣りをするうえでは不安材料ですよね。しかしそれを言っても始まりませんから、バスの代謝について、ここで改めて学んでみることにしましょう。

こんにちは!店長の小山です!

本日は海外サイトより、”Facts About Bass Metabolism”という記事を引用してご紹介いたします。

引用先:lurenet.com ”Facts About Bass Metabolism” By Dr. Hal Schramm,Mar 3, 2015

これを書いているのが2020年の11月6日。長野県北部はだいぶ寒くなってきました。

今年は観測史上最高となる暖冬から始まり、雪不足からの水不足が心配されましたが、その帳尻を合わせるかのような長梅雨になり、梅雨明け後もスカッと晴れた日の少ない夏になり、かと思えば10月までは温か~い秋になるという、ここまではとてもだらだらしたシーズンだったと思います。

これにより良い釣りになったという人も、いまいちだったという人もいらっしゃったことでしょう。

それが11月に入って急に寒くなってきまして、今後はどんなしっぺ返し?帳尻合わせ?が来るのか心配しているところであります。

さて、私がこうして天候について心配している間にも、バスたちは今を生きています。

今年がどうとか、これからどうなるかをバスたちは気にしていません。

バスたちはいい気なものですが、私たちはそんなバスたちのことが気になって仕方がありません。だって、彼らに会いたいですからね。

特にこの晩秋から冬になると、バスの活性は下がると言われているわけですから、とても不安な気持ちになってしまいますよね。

バスの活性は水温が上がれば上がり、水温が下がればバスの活性も下がります。これが、新陳代謝です。つまり季節によってバスの活性は変わるということになるのですが、これについて私たちはどう対処すればいいのでしょうか。

この記事は、アメリカのルアーショップ「LURE NET」のブログ記事で、ミシシッピー州の魚類野生生物研究ユニットの研究者でもあり大学教授でもあるハル・シュラム氏のバスの代謝に関する研究内容が書かれています。

冬が迫り、不安な気持ちを落ち着かせるために、ここでバスの新陳代謝について、改めて学んでおくことにしませんか。

バスの代謝の真実

引用文(タップすると開きます)
I read a lot of articles that talk about metabolism, and it’s usually in a rather negative sense—bass won’t chase fast-moving baits in the winter because their metabolism is slow, or bass don’t feed often in cold water because their metabolism is slow. Have you ever heard about a time when metabolism was credited for a hot bite? Something along the lines of, “Dude, I really whacked ‘em today. Their metabolism must have been skyrocketing.” Before exploring bass metabolism, let’s define it. “Metabolism is the chemical changes in living cells by which energy is provided for vital processes and activities and new material is assimilated.” In application, that definition boils down this: Staying alive requires energy, and metabolism produces and uses energy. Understanding a bass’ metabolism and energy budget can help you put fish in the boat. And, it can help you keep them alive after you catch them.

私はバスの新陳代謝について書かれたたくさんの記事を読んできましたが、だいたいは、冬になって新陳代謝が遅くなると動きの速い巻き物系のルアーを追わなくなるとか、バスは低水温下ではあまりフィーディングしなくなるという、ネガティブな意味で書かれていました。

では逆に暖かい時期に新陳代謝が上がってよく釣れたとき「ああー今日はめっちゃ釣れたな。バスの新陳代謝が急上昇していたに違いないな。」こんな風に1度でも言ったことがありますか?

バスの代謝について調べる前に、それを定義しましょう。

「代謝とは生細胞の化学変化であり、代謝によってエネルギーが重要な過程や活動に供給され、新しい物質が吸収されることです。」

ここでは、その定義は次のように言い換えます:「生き続けるにはエネルギーが必要であり、代謝とはエネルギーを作り出して使用すること。」 ですから、バスの代謝とエネルギー収支を理解することは、バスを釣るのに役立ちます。 また、それは、釣ったバスをライブウェルで死なせないためにも役立ちます

バスの代謝と活性
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バスの代謝についての事実

引用文(タップすると開きます)
Some simple truths about metabolism: • Metabolism increases with temperature up to near bass’ lethal temperature (about 98 °F). Bass are cold blooded—their body temperature is about the same as the water temperature—so their metabolism is higher in warm water. • Metabolism increases with activity. Bass chasing food or fighting the drag of your baitcaster have a higher metabolism than a bass at rest. • Metabolism requires oxygen. A bass with elevated metabolism needs more oxygen. Let’s put this together to make some predictions about bass behavior.
  • バスの代謝は、死に至る水温(約37℃)近くまで水温とともに増加します。 バスは冷血動物であり、体温は水温とほぼ同じであるため、高水温ほど代謝が高くなります
  • 代謝は活動とともに増加します。 食べ物を追いかけたり、釣り人とのファイトをした直後のバスは、安静にしているバスよりも代謝が高くなります。
  • 代謝には酸素が必要です。 代謝が高いバスは、より多くの酸素を必要とします。

これをもって、バスの行動についていくつか予測をしてみましょう。

代謝とフィーディング

引用文(タップすると開きます)
Popular lore is that bass feed when their stomach is empty, and they don’t feed much in the winter because digestion slows. Partly true. Digestion slows in cold water because digestion is largely a chemical process (all chemical reactions are affected by temperature), but food in the stomach has little to do with feeding or, more specifically, hunger. Hunger—the actual (physiological) need for food that triggers feeding—happens when concentrations of circulating energy compounds, usually sugars or fats, drop below a threshold or set point — sort of a like a biological thermostat. The faster a bass burns energy (that is, the higher the metabolism), the sooner the energy levels drop below the threshold, and the sooner the bass is again hungry and looking for a meal. A bass living in 80-degree water has a higher metabolism, burns energy faster, and will eat more than a bass in 60-degree water. But be careful—eat more does not necessarily mean eat more often; it could mean get more energy by eating bigger energy packets. Summer is a time to think big baits first, downsize only if necessary. So how does metabolism account for the bite slowing in the heat of the summer and then revving up again in the fall? I don’t think it’s all about metabolism, and I’ll give you some thoughts to ponder. First, what summer slow-down? Bass bite all day long in mid-summer in Michigan and Minnesota. But yes, many Southern anglers agree the bite dwindles when the water temp is above the mid 80s and bass’ optimum temperature of 80 to 84 degrees. However, you’re reading surface temperature; bass are in cooler water if they can find it. Also, largemouth bass in the lab feed heavily when water temperature is in the mid to upper 80s. And, for a last point, activity raises metabolism and burns energy. A less-active bass burns less energy and will feed less. Telemetry studies show bass move less in the summer. In some lakes it’s because the bass are hunkered down in the thermocline for heat relief; in all lakes, the forage is at its annual peak abundance and the bass doesn’t need to burn much energy to capture it. Nevertheless, the warmer the water the higher the metabolism and the more energy bass are trying to consume. The bass are feeding; they’re just harder to catch, or maybe harder to find.

よく言われているのは、バスは空腹になるとフィーディングを行い、冬は消化が遅くなるためあまりフィーディングしなくなるというものです。これは半分は正解と言えます。消化というのは主に化学変化のことを指すため(温度の影響による化学反応です)、たしかに低水温では消化が遅くなります。しかし、胃の中の食物の量、もっと言うと空腹や飢えとフィーディングとはほとんど関係がありません。飢え(食欲が発生する生理的現象(必要性))とは、循環エネルギー化合物(糖または脂肪など)の濃度が、生物学的なボーダーラインを下回ったときに起こります。

バスがエネルギーを燃焼する速度が速いほど(つまり、代謝が高いほど)、エネルギーレベルがボーダーラインまで下がるのが早くなり、バスが再び空腹状態になり食事を探すペースが早くなります。 水温27℃の水域に住むバスは水温16℃の水域に住むバスよりもエネルギーをより速く燃焼し、より多く食べます。ただし、注意してください。より多く食べるというのは、必ずしもより頻繁にフィーディングを繰り返すことを意味するわけではありません。ときには、より大きなエサを食べることによってより多くのエネルギーを得るということでもあります。このような理由で、夏は大きめのルアーから投げ始めますが、必要に応じてルアーをダウンサイズして釣る季節だと言えます。

では、よく言われるように「夏は暑さのためバイトが落ち、秋になると再び活発になる。」このことを新陳代謝の観点からはどのように考えればいいのでしょうか? 私は、これは新陳代謝のことだけではないと考えています。

まず、夏のバイトが減るのはなぜでしょうか?ミシガン州やミネソタ州では、真夏でもバスは一日中バイトしてきます。しかし、アメリカ南部のアングラーさんたちは、水温が30℃を超え、バスの限界水温に近づいてくるとバイトが落ちることに納得されるでしょう。ただし、それは、あくまで表面水温の話です。バスはより低い水温のエリアを見つければ、そこへ行きます。また、実験室で飼育されているラージマウスバスは、水温が30℃代前半くらいになると、大量にフィーディングします。結局のところ、活動すれば新陳代謝を高め、エネルギーを燃やします。活動しないバスは、より少ないエネルギー消費であるため、フィーディングはより少なくなります。

バスの移動量の調査によると、夏はバスの動きが少なくなります。ある湖では、可能であればバスが熱を避けてサーモクライン付近にかたまるためです。ほとんどの湖で、ベイトフィッシュは夏に年間のピーク量に達しますので、バスはそのベイトフィッシュを食べるために多くのエネルギーを消費せずに済むはずです。それにもかかわらず、水温が高いため代謝が高くなり、バスはそれ以上のエネルギーを消費してしまうのです。これが、バスはフィーディングをしまくっているにもかかわらず、なかなか釣れない、いわゆる足が速い状態でしょう。

バスの代謝と活性
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代謝とバスの居場所

引用文(タップすると開きます)
Resting or inactivity is a way to conserve energy. Several bass movement studies indicate that bass have resting areas and feeding areas. One study in Lake Seminole that straddles the Florida-Georgia line found that bass moved from offshore standing timber to near shore vegetation at times that would coincide with feeding peaks. Expect more bass in feeding areas when metabolism is high (summer); expect more bass in resting areas when metabolism is low (winter). Also, bass in the feeding areas were more active. You may need a slower, in-your-face approach when fishing resting areas. Bass can adjust their buoyancy and remain suspended without activity — energy conservation in action. Suspending off structure or in deeper, dimly lit water may be the equivalent of a resting area. In the summer, the cooler thermocline can be the ideal resting area. If so, expect these bass to be less feeding oriented and possibly require a different presentation, maybe like a big, slow-moving Money Minnow or a Yumbrella rigged with match-the-hatch-size grubs, Money Minnows, or Mud Minnows.

休憩や活動をしないというのは、エネルギーを節約する方法です。いくつかのバスの活動の研究によると、バスには休憩エリアフィーディングエリアがあることが分かっています。フロリダ州とジョージ州の境にあるセミノールレイクでのある研究では、バスのフィーディングのピーク時間になると、沖の立木エリアからショアライン近くのウィードエリアに移動することがわかりました。代謝が高いときは(夏)、フィーディングエリアでより多くのバスに期待してください。代謝が低いときは(冬)、休憩エリアでより多くのバスが期待できます。また、フィーディングエリアのバスはより活発ですが、休憩エリアで釣りをするときは、ゆっくりと忍耐強いアプローチをする必要があるかもしれません。

バスは浮力を調整し、活動せず停止したままでいることができます。まさに省エネ状態です。地形変化付近でサスペンドしたり、ディープの薄暗いレンジでサスペンドすることは、休憩エリアにいることに当たる場合があります。夏には、涼しいサーモクラインが理想的な休憩エリアになります。もしそうなら、そこにいるバスにはフィーディング用のアプローチではなく、別のプレゼンテーションが必要になると予想してください。たとえば、大きくて動きの遅いシャッドテールワームや、ベイトフィッシュに合わせたグラブやシャッドテールワームのアラバマリグなどです。

ライブウェルのバス

引用文(タップすると開きます)
Understanding bass metabolism will help you keep bass alive and healthy in the ‘well. Good for the resource, and good for cashing that check. But like a D-back that intercepted a pass and ran it back 40 yards, that bass you just caught probably has a high metabolism and an oxygen debt and needs a lot of oxygen. Keep your livewell well aerated. In warm water, bass have higher metabolism and need more oxygen. Cool water holds more oxygen, and cooler bass use less oxygen. When water temperatures climb, add ice to cool your livewell. Half gallon milk bottles filled with water and frozen are perfect. But don’t overdo it. The following table gives you desirable livewell temperatures. You will not only weigh in more live bass, you will increase their survival after release. Try it. You will quickly see that bass from your cool livewell water are more vigorous and have a healthy slime coat compared to limp, dry-feeling bass from your buddy’s livewell with water temperature above 85 degrees.
バスの代謝と活性
Image by lure net.com

バスの代謝を理解することは、バスをライブウェル内で健康に保つのにも役立ちます。これはトーナメントでは賞金に直結することです。サッカーで言うとパスをインターセプトしてからゴール前までドリブルした選手と同じように、釣ったばかりのバスは代謝が高い状態で、酸素不足の傾向があり、大量の酸素を必要とします。

あなたのライブウェルは換気の良い状態にしてください。温水ではバスの代謝は高くなり、より多くの酸素を必要とします。冷水にはより多くの酸素があり、冷水のバスはより少ない酸素量で済みます。水温が上がったら、氷を入れてライブウェル内を冷やします。ペットボトルに水を入れたものを冷凍しておくのがベストです。しかし、やりすぎないでください。上の表は、望ましいライブウェルの水温を示しています。生きたバスをウェイインできるだけでなく、ウェイイン後にリリースしたバスの生存率をも高めることができますので、ぜひ試してみてください。冷たい水のライブウェルから出したバスは、水温30℃のライブウェルから出したバスのぐったりした感じに対して、より活発で健康的な粘膜の輝きがあることが見てわかります。

バスの代謝と活性
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私たち人間は、どうしても空腹と食事をイコールで結び付けて考えてしまいますが、バスたちは空腹とフィーディングは関係していないということです。

あくまでも、何かのボーダーラインのようなものがあり、それを下回りそうになるとフィーディングするということなんですね。

それは、よく言われるフィーディングスイッチとはまたちょっと違うものっぽいですね。

夏はそのボーダーライン上か、ボーダーラインスレスレで生活しなければならなくて、気を抜いたらすぐまたフィーディングしなくては今の体型を維持できない状態なんですね。

逆に、冬は消化が遅いようですから、食べたものが消化されるまでのタイムラグは長くなると思いますが、このときは満腹(物理的に胃がパンパンに膨らんだ状態)になってもフィーディングは止まらないのでしょうか。

ちょっと謎です。まあ、これは釣果とはあまり関係がなさそうですのでいいんですけどね。

代謝の理屈が分かっても、釣果に繋げなければいけませんが、重要だなと思ったのは、そこにいるバスが休憩エリアにいるバスなのか、フィーディングエリアにいるバスなのかということ。

それと、人間が分かるのはあくまでも表水温だけということで、それもまた、そこにいるバスの状態の見極めに重要なことだということです。

バスたちは私たちがそんな難しいことを考えているともつゆ知らず、相変わらず今を生きていますが、私たちはバスに会いたい一心でいろいろ考えちゃいますね。

なんとか、バスの生態に深く触れたら、バスをキャッチするために活かしたいものですね!

それではまた。

毎度ありがとうございます!