フロロカーボンライン50年の歴史

フロロカーボンライン50年の歴史
Photo by gameandfishmag.com

バス釣りで使われるラインは主にナイロン・フロロ・PEの3種類がありますが、それぞれの特徴を知ることは重要です。今回はフロロカーボンに焦点を当て、その独自の特性などを歴史の面からおさらいしてみましょう。

こんにちは!店長の小山です!

本日は海外サイトより、”50 Years of Fluoro”という記事を引用してご紹介いたします。

引用先:gameandfishmag.com”50 Years of Fluoro”By Dr. Jason Halfen|April 06, 2021

現代のバス釣りになくてはならないライン、それが「フロロカーボンライン」です。

当店のブログの下の方にある「よく読まれています」の欄にも常連のように居座っているのが、フロロ、ナイロン、PEラインのそれぞれの特徴や、メリット・デメリットに関する記事です。

基本的にはナイロン・フロロ・PEの3種類のラインをバス釣りでは使い分けることが多く、それぞれに特徴があり、それぞれにメリット・デメリットがありますので、それを理解しておくことは重要です。

フロロカーボンラインの歴史は長いバス釣りの中で見れば比較的新しいものなのですが、それでもこれまで過ぎてきた時間の中で進歩、進化をしてきています。

フロロカーボンラインは細くできなかった難点を今は解決していますし、硬いのが特徴だったものが、しなやかで柔らかいものが登場していますからね。

そのような進化した部分を含め、フロロカーボンライン登場の歴史から、改めてこの素材について理解を深め、自分の釣りに活かせればいいと思うんです。

この記事は、アメリカのゲームフィッシング専門ウェブ新聞「Game&Fish」のコラム記事で、ジェイソン・ハーフェン博士がフロロカーボンの歴史や特徴について解説してくれています。

どういう目的を持ってフロロカーボンを使うべきなのか、ここでおさらいしておきましょう、

フロロカーボンの50年

引用文(タップすると開きます)
Fluorocarbon line traces its origins to 1971, when chemists and engineers at Kureha—a Japanese specialty chemicals firm—first extruded fluorocarbon fishing lines from raw polyvinylidene fluoride resins and launched the company we now recognize as Seaguar. Early users of fluorocarbon quickly recognized many of its unique properties—attributes that helped them hook and land more fish—and these advantages have continued to build over the past 50 years. One of the first things you’ll appreciate when using fluorocarbon is that it’s nearly invisible underwater to anglers and, more importantly, fish. This is not hype and hyperbole, but science and fact. The extremely low subsurface visibility of fluorocarbon is rooted in the optical property of refraction, which describes the speed of light as it travels through a particular medium. Because the refractive index of fluorocarbon (1.42) very closely matches that of water (1.33), fluorocarbon is quite difficult to see beneath the waves. By comparison, traditional nylon monofilament line has a much higher refractive index (1.58), rendering even clear monofilaments much easier to visualize, by both anglers and fish, in the water. “One of the reasons that fluorocarbon use has grown explosively during the past decade is that anglers have recognized the advantages of an extremely low visibility line," says Seaguar General Manager Gerry Benedicto. “Many lakes and rivers across the country have gin-clear water that allows fish to see basically everything, so when you have a line that is virtually invisible underwater, it’s game on!" The polymers used to prepare fluorocarbon lines impart other unique physical and chemical properties to these fishy filaments. Specifically, the fluorine-rich nature of their synthetic starting materials render fluorocarbon lines uniquely water-repellent and resistant to the damaging effect of exposure to ultraviolet light from the sun. These properties stand in stark contrast to those of nylon monofilaments, which can absorb as much as 10 percent of their weight in water, and lose up to 20 percent of their original strength after 100 hours of exposure to ultraviolet light. If you want to fish with a line that’s designed to stand the test of time, fluorocarbon is the obvious choice. What else will you notice when you start fishing with fluorocarbon? First, unlike mono and braid, fluorocarbon lines sink in water, a result of their density (nearly 1.8 g/ml) being substantially higher than that of the water (1.0 g/ml) we cast them into. This means your baits, especially lightweight finesse presentations like the Ned rig, will fall into the strike zone faster and stay there longer. In addition, fluorocarbon lines offer just the right amount of stretch, positioned between nylon mono, which can stretch up to 25 percent of its original length, and completely no-stretch braided lines. As a result, fluorocarbon will yield positive hooksets at long distances, while still providing a measure of trophy-saving shock absorption when a big fish makes a powerful run at boat side.

フロロカーボンラインの起源は1971年にさかのぼります。日本の特殊化学会社であるクレハの化学者とエンジニアが、生のポリフッ化ビニリデン樹脂からフロロカーボン釣り糸を最初に引き出し、現在Seaguar(シーガー)として知られている会社を立ち上げました。フロロカーボンを初期から使っているアングラーは、その独自の特徴(より多くのバスを釣るためのメリット)をすぐに理解し、そのメリットは過去50年にわたって認められ続けています。

フロロカーボンを使用するときにまず理解しなければならないことの1つは、釣り人と、さらに重要なことに、魚にも水中ではほとんど見えなくなることです。これは誇大表現や誇張ではなく、科学に基づく事実です。フロロカーボンの水中での見えにくさは、特定のものを通るときの光の速度を表す屈折という光学特性によるものです。フロロカーボンの屈折率(1.42)は、水の屈折率(1.33)と非常に近いため、水面下でフロロカーボンを認識するのは非常に困難です。これまでのナイロンラインと比較したとき、ナイロンラインはより高い屈折率(1.58)であり、釣り人も魚も水中の透明なナイロンラインを見つけるのはかなり簡単です。

「過去10年間でフロロカーボンの使用が爆発的に増加した理由の1つは、非常に見えにくいというラインのメリットを多くの釣り人が認識したことです」とSeaguarのゼネラルマネージャーであるゲーリー・ベネディクトは述べています。 「全国の多くの湖や川に、魚にとって見通しの効くジンクリアなフィールドがあります。したがって、水中でほとんど見えないラインがあるということは大きなメリットです!」

フロロカーボンラインの製造に使用されるポリマーは、釣り糸に使われる素材として他にも独自の物理的および化学的な特性を持ちます。具体的には、合成材料であるフッ素が豊富なことにより、フロロカーボンラインは独特の撥水性を持ち、また太陽からの紫外線にさらされる劣化への耐性があります。これらの特性は、ナイロンラインの特徴である水中で重量の10%の水を吸収し、紫外線に100時間さらされると最大で元の強度の20%を失うという特性とはまったく対照的です。時間の経過とともに進む劣化への耐性が高いものを使いたいのであれば、フロロカーボンは当然の選択です。

フロロカーボンライン50年の歴史
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フロロカーボンで釣りをするとき、他に何に気付くでしょうか? まず、ナイロンやPEとは異なり、フロロカーボンラインは水中に沈みます。その比重(約1.8)は、水(1.0)よりも大幅に高くなっています。これは、軽いルアーやリグによるフィネスプレゼンテーションをストライクゾーンへ早く到達させ、そこに長く留まらせるということを意味します。

さらにフロロカーボンラインは、ナイロンラインの伸び率(最大25%)と、まったく伸縮性のないPEラインの中間という、ちょうどいい伸び率があります。その結果、フロロカーボンは遠くのバイトでも高いフッキング率を生み出しながら、ビッグフィッシュがボート際で暴れたり急な突っ込みをしたときには適度な伸びをもたらします。

進化するフロロカーボンライン

引用文(タップすると開きます)
Anglers fishing with fluorocarbon have two options when spooling up: running straight fluoro or using a braided main line linked to a fluorocarbon leader. If you plan to use a fluorocarbon leader in this way, learn to tie a quality braid-to-fluoro knot so you can quickly add a fresh leader should yours become damaged during the heat of battle. The FG, double-uni and Crazy Alberto knots are all good ones. Many bass anglers will fill a baitcasting reel with 12- or 15-pound-test fluorocarbon when presenting crankbaits, taking advantage of fluoro’s significant abrasion resistance (another beneficial consequence of all of those fluorine atoms) to protect their line’s integrity as the bait deflects erratically off rocks and wood. At other times, spooling up with a silky-smooth, eight-strand braided line in 20-pound test and finishing with a 4-foot leader of 8-pound-test fluorocarbon can launch lightweight presentations into the stratosphere and reach hungry fish that other anglers cannot tempt. One of the unique attributes of fluorocarbon lines is that their properties are completely dictated by the specialty resins used in their manufacture. “The quality of fluorocarbon has evolved so much over the last 10 to 15 years," notes Benedicto. “Older formulations of the line were stiffer, making line management challenging and knot tying less forgiving. But now, fluoro is much softer allowing for better castability and sensitivity. At Seaguar, we even have custom resins that can be formulated to create fluorocarbon lines that cater to different fishing applications and techniques. With fluorocarbon, the sky truly is the limit."

フロロカーボンで釣りをする場合、使い方は主に2通りあります。すべてのラインをフロロにするか、PEラインのリーダーとしてフロロを使うかです。フロロカーボンをリーダーとして使用する場合は、ファイト中など傷が入った場合などに新しいリーダーにすばやくチェンジできるように、PEとフロロを結ぶノットを習得します。 FG、ダブルユニ(電車結び)、オルブライトノットどれでも大丈夫です。

フロロカーボンライン50年の歴史
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多くのバスアングラーは、クランクベイトを使う場合、ベイトリールに12ポンドから15ポンドのフロロカーボンを巻きます。これはクランクベイトが岩や木に当たって不規則に跳ねた場合にラインに加わりやすい根ズレからの高い耐性があるためです。また、20ポンドの8本編みPEといったしなやかなメインラインに、8ポンドのフロロカーボンを1.2メートルほどリーダーにすることで軽いものでもロングキャストができ、他のアングラーでは届かない遠くの空腹の魚にアプローチすることができます。

フロロカーボンラインの独自の特性の1つは、その特性が製造に使われる特殊な樹脂によってすべて決まるということです。

「フロロカーボンの品質は、過去10年から15年の間に大きく進化しました」とベネディクト氏は述べています。 「初期のフロロラインの配合では硬く、結び目で切れやすいなど、使いこなすのが難しいものでした。しかし現在のフロロははるかに柔らかく、キャスト飛距離と感度が向上しています。シーガーにはフロロカーボンラインを作るために独自に配合している樹脂もあります。さまざまな釣りの用途や技術に対応しています。フロロカーボンには無限の可能性があります。」

フロロカーボンライン50年の歴史
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ジャッカルの石川文菜さんの子供みたいなかわいらしい女の子がCMをするクレラップでおなじみの日本の呉羽化学工業株式会社(2005年に社名を株式会社クレハに変更)さんがフロロカーボンを開発したのですね。

株式会社クレハさんの釣り糸事業としてシーガーが立ち上がったということですが、現在のシーガーさんのホームページにもしっかり「フロロカーボンのパイオニア」という冠名がついています。

これは日本人アングラーとして非常に誇らしいことですね。

そのシーガーさんでは現在50周年を記念して大規模なキャンペーンを行っておりますね。

詳しくはシーガーさんのインスタグラムやYouTubeチャンネルをチェックすると良いようです。

さて、記事の方に話を戻しますが、これはアメリカの記事で、特に注意したいことのひとつはラインのポンド数の基準が日本と違うところです。

日本の表示ポンド数はポンドクラスといって「その力がかかると切れる数値」が表示されており、アメリカではポンドテストといって「その力では切れない数値」で表示されています。

同じ10lb表記だとしても日本なら10lbで切れる強さですが、アメリカでは10lbでは切れない強さということになりますので、同じポンド表記でも太さがずいぶん違います。

まあ日本でラインを買い続けている分には特に問題ではないのですが、アメリカからラインを個人輸入する場合や、アメリカの記事のラインの太さを参考にする場合は、ほとんどポンドテスト表記であることに注意してください。(このブログでもポンドテストのままです)

もうひとつ、PEラインとの結束で使うノットについてですが、アメリカでは電車結びを平気で使うのですが、電車結びは太いラインどうしであれば、バスを釣るくらいは大丈夫でしょう。

アメリカは太いラインを使う文化ですので、まあ電車結びでも良しとしますけども…。

しかし日本でよく使われるような0.4号以下の極細PEに5lb以下の細いリーダーを電車結びで結束してしまうと、かなり心もとない強度になってしまうと思います。強度と言いますか、抜けちゃうんですよね。

このあたりも、この記事をそのまま信用してしまうとちょっと怖いなと思った部分です。(細糸用のノットについては色々ありますので自分で良いと思ったもので結べばいいと思います)

あとひとつだけ、記事には紫外線劣化をしないと書かれていますが、厳密に言えばフロロカーボンもわずかですが紫外線劣化をします。

ラインを補完するときはナイロンはもちろんフロロも光の当たらないところへ保管してください。できれば部屋の照明はすべて紫外線のほとんど出ないLEDにしても良いくらいです。

また、ラインを窓際に陳列しているお店さんは最悪ですし、蛍光灯の下でラインがワゴンセールされているような商品は買わないでください。いくら安く売られていても後悔しますからね。

最近ではラインメーカーさんがボビンにUVカットフィルムを巻いてくれたり、直射日光が当たらないように紙パッケージにしてくれていたりしますが、ラインのたった1か所に紫外線が当たっただけでまったく意味のないものになってしまいますから、特にライン売場の陳列場所には気を付けてください。

さて、知識や経験豊富なアングラーさんであれば、この記事から多くの新しい情報や知識は得られなかったかもしれません。

しかし、フロロカーボンラインを使う時、ときどきは「フロロは日本のメーカーが開発したのかーすごいなあー」なんて思いを馳せながら釣りをするのも、気持ちの良いものかもしれません(笑)

今後もフロロラインの性能はますます上がるか、または新素材の登場などもあることでしょう。

日本の素晴らしいメーカーに引き続き信頼できるラインの開発を期待したいですね!

それではまた。

毎度ありがとうございます!