伊藤巧プロ「ポンドって何!?」

2021年3月18日

伊藤巧プロ「ポンドって何!?」
Photo by bassmaster.com

アメリカのバスマスターエリートというトップカテゴリで活躍する人気日本人バスアングラーのひとり、伊藤巧プロですが、アメリカでも急速に人気が高まっています。そんな伊藤プロの面白いエピソードがバスマスターサイトにありましたので、紹介させていただきます。

こんにちは!店長の小山です!

本日は海外サイトより、”Taku Ito: What’s a pound?”という記事を引用してご紹介いたします。

引用先:bassmaster.com ”Taku Ito: What’s a pound?”by Bryan Brasher|March 17, 2021

皆さんご存知、伊藤巧プロ。

日本からアメリカへ渡り、エリートシリーズというアメリカのトップカテゴリーを戦うバスプロのひとりですね。

本日はその伊藤巧プロのツイートから影響され、記事を紹介したいと思います。

伊藤巧プロは日本でも高い人気のバスプロのひとりですが、まだエリートシリーズ2年目が始まったばかりのアメリカでも、日本と同じように人気が高まってきています。

その理由のひとつは、エリートシリーズ初年度、ルーキーイヤーである2020年の成績が良かったことがもちろんあるでしょう。

もうひとつは、日本のフィネスフィッシングがアメリカでの注目度がどんどん上がっている中で、アメリカ北部のスモールマウス戦で特に好成績を残せたこともあると思います。

さらにその良かった試合のひとつ、2020年8月のセントクレア戦ではライブカメラが同船したのですが、その時に釣ったスモールマウスバスのひとつに吸血ウナギがくっついていて、カメラマンとコントみたいな会話を展開したり(笑)

伊藤巧プロ「ポンドって何!?」
Photo by bassmaster.com

ジャイアントスモールマウスを釣ったときもカメラマンに「2ポンドくらい?」と言われ「いや4ポンドはある、4パウンダーゲットだぜ!」というものの、スタジオでは「いやいや5パウンダーでしょ(笑)!」とツッコまれるというキャラクターもありながら、カメラが同船した時にそのようなことが起きることも「持ってる選手」という感じがします。

そのシーンがこちら

再生ボタンを押すとそのシーンから流れます。

吸血ウナギのシーンは次↓

吸血ウナギのシーンはこちら

実力はもちろん、こういったエンターテイナー的な要素を持っていることと、日本人特有の謙虚さや礼儀正しさもしっかり併せ持っていることで人気が高まっていると言っても間違いではないと思うんですよね。

そして、これは私の意見なのですが、アメリカといえば歴史上は1776年に国家として独立を果たしたばかりの「移民と開拓の国」であるためか、他国の人を受け入れる国民性があるところが私が好きなアメリカなのですが、日本人や日本語や日本の文化に寛容といいますか、興味を持っている部分があると思うんです。

先ほど触れたように、重さの単位が日本とアメリカではキロとポンドの違いがあり、他にも長さやスピードもキロとマイル、温度も摂氏(℃)と華氏(℉)で違ったりして、伊藤プロもツイートしているように非常にややこしいのですが、こういったところも日本人トーナメンターのひとつの魅力になっているのかもしれません。

さて、この記事ですが、アメリカバスマスター公式サイトのコラム記事で、そんな伊藤巧プロのポンドとキロのエピソードについて紹介されています。

アメリカのバスフィッシングファンにどんな風に思われているのか、気になる方もいらっしゃると思います。

ぜひ読んでみてください。

 気になるところだけ読んでもOKです 

1ポンドってどれくらい!?

引用文(タップすると開きます)
When the competitors on the Bassmaster Elite Series were notified before the season that the angler who comes closest to accurately estimating his pounds and ounces total on BassTrakk at each event will receive $1,000, second-year pro Taku Ito had an interesting question: What’s a pound? Oh, and a quick follow-up question: What’s an ounce? A native of Chiba, Japan, Ito didn’t learn pounds and ounces as his weight metrics in school like his fellow competitors from the United States. Instead, he learned the standard Japanese metric of kilograms. Since beginning his pursuit of an Elite Series berth in 2018 — and promptly qualifying for his rookie campaign last year — he’s been coming to the scales with no idea what he really had or where it would place him in the standings. “I do kilograms my whole life,” said Ito, who finished 47th in last year’s Bassmaster Angler of the Year standings as a rookie. “I work to learn conversion, but I not quite there yet. All tournament in Japan do kilograms. That what I still estimating in my head.” So, in Taku’s mind, if he’s got anywhere close to 9 kilograms, he’s a had a great day. That’s somewhere in the vicinity of 20 pounds. It’s a great benchmark, but it doesn’t help him much when it comes time to estimate his total for BassTrakk — the daily unofficial standings that fans follow online while an event is in progress. For that, he’s relied on Bassmaster Marshals like Bo Stephens, who rode with him on Day 2 of the season’s second event on the Tennessee River. “He’d catch a fish and I’d say ‘That looks like a 2-pounder or a 3-pounder.’ Every time, he would just answer ‘Sure.’ I started to see a pattern,” Stephens said with a laugh. “Once he got a limit and it was time to cull, he caught one and I said, ‘What do you think?’ That’s when he told me he had no idea.” For more than three years now, Ito has been living by a super-simple formula on the water. “He told me he just knows the big ones from the little ones,” Stephens said. “There have been times when other anglers have asked him before the weigh-in what he had and he would say 15 pounds. Then it would turn out he had 21 pounds. He just doesn’t know.” Figuring things out as he goes has been a common theme for the second-year Elite Series pro who’ll turn 35 later this month — and his happy-go-lucky approach has made him one of the more popular anglers on the trail. When the Elites made their swing to the North last year with visits to the St. Lawrence River and Lake Champlain in New York and Lake St. Clair in Michigan, Ito says he had never caught a smallmouth bass. But he very nearly stole the show in all three televised events, finishing sixth, 10th and 10th, respectively, while showing off his deep-water fishing skills for smallmouth. “I never catch before,” he said many times during the first of those three events at the St. Lawrence River. He caught several that week, including a few in the neighborhood of 2.268 kilograms (or 5 pounds). “He’s just such a genuine, likeable guy,” Stephens said. “I thoroughly enjoyed my day on the water with him, figuring out the cultural differences and getting to know him a little bit. “The fact that he’s not out there sweating the pounds and ounces, to me, that just makes him all the more likeable.”

バスマスターエリートシリーズのある試合でのウェイインのとき、プロ2年目となるタク・イトーは、合計重量が出て賞金1000ドルを受け取る直前になって、とんでもない質問をしてきました。

「1ポンドってどれくらいだっけ?」

それに続いて次はこうです

「あと、1オンスもどれくらいだっけ?」

日本の千葉出身の伊藤巧は、学校で習った重さの基準がアメリカのトーナメンターのようなポンドとオンスでは学んでいません。彼は日本では普通となる、キログラムが基準のメートル法を学んでいます。

2018年にエリートシリーズ参加への挑戦を開始して以来、そしてルーキーイヤーとなった昨年のエリート昇格を果たして以来、全ての試合で彼は実際に今何ポンドあるのか、それが自分がどれくらいの順位になるのかもわからないままウェイインをしています。

「私はずっとキログラムでやってきたので」と、昨年のバスマスターアングラーオブザイヤーのルーキーイヤーを47位に終わった伊藤巧は言います。 「一生懸命に重さの単位を変換しようとは思うんですが、まだイマイチ馴染めません。日本のすべてのトーナメントはキログラムで行います。どうしてもまだ頭の中ではキログラムで考えてしまうんです。」

ですから、伊藤巧の考えでは、5本で9キログラムに近いバスを持っていればその日はかなりの合格点だと考えます。だいたい20ポンドくらいということです。基準としては素晴らしい数値ですが、BassTrakk(バストラック)の合計で判断するときは役に立ちません。バストラックとは試合中にファンがオンラインで見ることができるその日の暫定の順位のことです。

そのため、シーズン2戦目となるテネシーリバーの2日目、彼は同船したバスマスターのマーシャル(審判員)のスティーブンスらに頼っていました。

「彼がバスを釣るたびに私は『2ポンドか3ポンドくらいだね』と言うんです。すると彼はだいたい『そうだね、どうやらパターンを発見したかもしれないぞ』と答えるんだよね。」スティーブンスは笑いながら言います。 「彼がリミット(5本)を釣って、次のバスで入れ替えをするとき、私は「どれくらいあると思う?」と聞いたんですが、そのとき彼はまったくわからないと言ったんです。」

伊藤巧はここ3年間ほど、かなりシンプルな判断をフィールドでしています。

「彼は、ビッグワンかリトルワンかで判断するしかないと私に言ったんです。」とスティーブンスは言います。 「他のアングラーが伊藤巧に全部でどれくらい釣って来たのかとウェイインする前に聞いたところ、彼は15ポンドだと言ったそうです。それが実際は21ポンドだったということがありました。彼は本当に分からなかっただけです。」

今月35歳を迎える2年目のエリートシリーズプロの伊藤にとって、重さの単位を覚えることは彼の重要なテーマとなりそうですが、そんな彼ののんびりした印象もまた、最も人気のあるアングラーの1人にさせています。

昨年、エリートプロたちがニューヨークのセントローレンスリバーやレイクシャンプレーン、ミシガン州のレイクセントクレアでの試合のためにアメリカの北部へ向かって移動するまで、伊藤はスモールマウスバスを釣ったことがなかったそうです。しかし、彼はテレビでライブ中継された3つの試合すべてで大活躍し、それぞれ6位、10位、10位でフィニッシュし、ディープのスモールマウスの釣りのスキルを見せつけてくれました。

「初めて釣ったよ!初めて!」彼は3連戦の初戦となるセントローレンスリバーで何度もそう言っていました。

彼はその試合で2.268キログラム(アメリカでいう5パウンダー)のバスを含む数匹を釣っていました。

「彼は本当に、とても好感の持てる男だ」とスティーブンスは言います。 「私は彼との文化の違いに触れ、彼のことを少し知ることができ、1日の試合がとても楽しかった。」

「彼がポンドとオンスを知らないなんて事は、私にとってはいっそう好感が持てる材料に過ぎないね。」

伊藤巧プロ「ポンドって何!?」
Photo by bassmaster.com

私はバスマスターライブで見るまで、伊藤巧プロが試合をする様子を見たことがなかったのですが、それまでのプラクティスの様子をSNSにアップした動画を含め、試合での余裕というか、平常心を保つ様子にものすごく感心しました。

同じ試合中にアメリカが好きなこと、アメリカでの試合への夢や憧れについて語っていたりしたのですが(多分ですけど)、その夢の舞台でこの落着きようはすごいと思います。

カメラマンと笑って話したり、ランディングの時にキャーキャー言ってみたりするのは、試合をエンターテイメントとして盛り上げ、看板を掲げるスポンサーや観ているファンに恩返しするプロ意識にも見えるからです。

すごい選手ですね。

ツアー中に盗難や故障などの不運に見舞われることもあったようですが、日本から参戦するという大きなハンデもろとも乗り越え、長く活躍できたらいいなと思います。

アメリカで活躍する日本人選手が増えたことで日本のファンは寝不足がヤバいことになっていますが(笑)、私も試合を見て応援したり、SNSなどに声援メッセージを送れたらと思います!

それではまた。

毎度ありがとうございます!