【徹底調査】バス釣りにおけるキャッチアンドリリースの生存率は?

2020年9月14日

【徹底調査】バス釣りにおけるキャッチアンドリリースの生存率は?
Photo by louisianasportsman.com

バス釣りをする方は、バスという魚が大好きなことがほとんどです。キャッチアンドリリースというのは正直なところ賛否両論あるのですが、リリースする以上はちゃんと生きててほしいと考えるもの。実際、どのくらいのバスがリリース後も生きているのでしょうか。

こんにちは!店長の小山です!

本日は海外サイトより、”Do released bass live to fight again?”という記事を引用してご紹介いたします。

引用先:louisianasportsman.com ”Do released bass live to fight again?”by Jerald Horst December,2014

ブラックバス釣り=キャッチアンドリリース

この図式が当たり前のようになって、もう何年くらいになるでしょうか。

キャッチアンドリリースというのは、人間が勝手に作ったルールといいますか、思想です。

本来、人間というものは生きるために他の生き物を食べなければならず、それだけやっていればよかったのですが、時代とともに人間の生活が裕福になってくると、食べるためではなく、楽しむためのバス釣りというものが誕生しました。

そういった時代の流れの中で、キャッチアンドリリースというものには賛否両論あるんですね。

本場アメリカでも、食べるためにバスを釣りたいアングラーと、トーナメントを盛り上げるために少しでも多くのバスを保存したいアングラーで意見が分かれるようです。

バスを食べない釣り人の立場である自分を擁護することになるかもしれませんが、こればっかりは誰が判断できることでもないのではないかと思います。

織田信長の言葉を借りれば、「是非もなし」という状態で、色々考えても仕方がないような気もします。

信長は本能寺で明智光秀に殺されるときにこの言葉を言ったとされています。ひとつの命とのやりとりにも、色々な立場や人生観があるのだという考えが、この言葉に集約されているような気がします。

ただ、キャッチアンドリリース自体が賛否ある行動だとしても、釣ったバスをリリースしている以上は、そのバスがその後もちゃんと生きていけるかどうかを気にするのは当然の話で、信長ほど人生を達観できるわけではありませんが、自分が関わった命をどう考えるかは大事なことなのではないかと思います。

実際問題、リリースされたバスの生存率とは、どのくらいなのでしょうね。

この記事は、アメリカのハンティングとフィッシングの専門メディア「ルイジアナ・スポーツマン」のコラム記事で、元ルイジアナ州立大学の漁業教授でありアウトドア記者であるジェラルド・ホスト氏が、キャッチアンドリリースされたバスの生存率を示す研究結果について共有してくれています。

アメリカで長年行われた研究結果が見れるようですので、大変興味深いと思います。

ぜひ読んでみましょう。

バスをリリースすることの賛否について

引用文(タップすると開きます)
Whether one loves it or hates it, a certain amount of catch-and-release fishing is here to stay. While fishermen have released some fish for a long time, the practice became high profile with the commercialization of black bass fishing through the founding of the Bass Anglers Sportsman Society by Ray Scott in 1967. Scott obviously knew that the concept of turning a gang of expert bass fishermen loose to kill fish for money would not sit well with either local anglers or conservationists. So he stressed that his bass tournament participants released all their catch. This ethic, if that is the proper term, caught on rapidly in the competitive bass-fishing world. So strong is the belief in catch-and-release fishing amongst competitive anglers that some look on with absolute horror at those fishermen who keep their catch for consumption. “Bass are too valuable to eat,” they cry. Consumptive fishermen — those who haven’t abandoned bass fishing — return the emotions in spades. Fish were put here to eat, they retort, and if they obey legal limits they shouldn’t be sneered at for keeping their catch. Some also began to resent the competition from tournament anglers in what they viewed as terribly overpowered boats. They cite the seemingly inevitably poor fishing on a water body following a major tournament. At crux was the question of how many released bass survive after being wrestled from the water and held in livewells for hours. Tournament anglers claim almost all their fish survived and point fingers at consumptive fishermen, saying survival of the bass put in ice chests is zero. Consumptive fishermen argue that most released tournament fish die, some days after release. Their main argument is against the waste of the fish. A supporting argument is that released fish seldom, if ever, travel back to the territory from which they were taken, dramatically impacting fishing success.

好む好まないに関わらず、ある程度キャッチアンドリリースの釣りは定着しました。それまでもアングラーの間ではリリースする習慣はあったものの、1967年にレイ・スコットによってバスアングラースポーツマンソサエティ(B.A.S.S.)が設立され、ブラックバスフィッシングが商業化されたことで、この習慣は注目を集めました。

スコットはトーナメント団体を設立する時、賞金のためにバスを殺生するバスアングラーというのはもはやギャング集団であり、明らかに地元のアングラーや環境保護論者のどちらにもうまく対応できないだろうと考えていました。そこで彼は、B.A.S.S.のバストーナメント参加者はすべてのバスをキャッチアンドリリースすることを強調しました。

この倫理は非常にいい考えだということで、競争の激しいバスフィッシングの世界で急速に普及しました。

トーナメントアングラーの間でのキャッチアンドリリースという信念は非常に強いため、食べるために釣るアングラーを白い目で見る風潮もあります。

彼らの言い分は「バスは価値がありすぎて食べられない」ということです。

バスを食べるために釣ることを諦めきれないアングラーは、すぐさま言い返します。バスは食用としてここに持ち込まれたと。彼らが持ち帰り制限をしっかり守っているのであれば、彼らを笑うことはできません。(アメリカでは日本のニジマスの管理釣り場のように、食用としてバスを持ち帰るのにサイズや本数が制限されている釣り場が多い)

また一部のアングラーからは、トーナメントによる多くの高性能なボートにより、トーナメントアングラーに対する非難も起こりました。彼らによるメジャートーナメントの後は、必然的にそのフィールドがスレて釣れなくなってしまうと言います。

核心となったのは、ファイトを終えたバスがライブウェルに何時間も入れられ、その後リリースされたとしても、どれだけ生き残るのかという問題でした。トーナメントアングラーは食べるためにバスを釣るアングラーを指さして、氷の入ったクーラーボックスに入れられるバスは生存率ゼロだが、ほとんどすべてのリリースバスは生き残っていると主張します。

食べるためにバスを釣るアングラーは、リリースされたトーナメントフィッシュのほとんどがリリース後数日で死ぬと主張しています。彼らの主な議論は、魚を無駄に浪費していることに対してなのです。

裏付けとなる考えは、リリースされたバスが釣れたエリアに戻ることはめったになく、その後の釣りに劇的な影響を与えるということです。

【徹底調査】バス釣りにおけるキャッチアンドリリースの生存率は?
Photo by louisianasportsman.com

リリースバスの72時間以内の生存率

引用文(タップすると開きます)
In the neighboring state of Texas, biologists have conducted several studies on the impacts of tournament fishing on largemouth bass. In Lake Umphrey, a small private lake in East Texas, they set up four teams of two anglers, with the teams making two trips each. Each team used a different bait type: treble hook lures, Carolina rigged-plastic worms, live carp under a cork and live carp on the bottom. Each team fished until it had 30 bass longer than 14 inches. The hooking location was recorded for all fish before they were tagged and placed in the boats’ aerated livewells. If a fish was bleeding, it was noted. For deep-hooked fish, the anglers were given the option of cutting the line and leaving the hook in place. No fish were held in boat livewells longer than 15 minutes before being transferred to a 20-foot-deep, floating nylon mesh cage. There, the fish were held for 72 hours before release. At the end of 72 hours, 22 percent of the bass had died. The death rate was little different for fish caught on live bait compared to those caught on artificials. On the first trip, mortality was 13 percent for live bait-caught fish, compared to 23 percent for artificials. On the second trip it was 28 percent and 23 percent. Mortality rates were associated with where the fish were hooked, though. It was 48 percent for those hooked in the throat, 17 percent for those hooked in the gills, and 20 percent for mouth-hooked fish. The percentage of throat-hooked fish was highest with plastic worms. Bleeding was also important. Of the 240 fish captured, 19 were observed to be bleeding — and nine (47 percent) of those died. Bleeding was observed more for fish hooked in the throat (48 percent) and the gills (50 percent) than for those hooked in the mouth (1 percent). Anglers cut off and left hooks in 16 of 21 throat-hooked bass. Eight (50 percent) of these fish died, as did two of the five (40 percent) throat-hooked fish from which hooks had been removed. Interestingly, for all fish, the larger the fish, the lower the mortality rate was.

隣接するテキサス州では、生物学者がラージマウスバスに対するトーナメントの影響についていくつかの研究を行ってきました。

テキサス東部の小さなプライベートレイクであるアンフリー湖で、彼らは2人のアングラーによる4つのチームを立ち上げ、チームはそれぞれ2回のミッションを行いました。

各チームは異なるルアーと生きエサを使用しました。トレブルフックの​​ルアー、キャロライナリグ、浮きの付いた表層の生きた小魚、ボトムで泳がせる生きた小魚です。

各チームは、35センチよりも長いバスを30本釣りました。

釣れたバスはタグ付けされてボートにある循環器付きのライブウェルに入れられますが、その前にすべてのバスのフックの位置が記録されました。バスから出血がある場合は、それも記録されました。

フックが飲まれたバスの場合は、釣り人はラインをカットしてフックをそのままにしておく手段を採用しました。

ボートのライブウェルには15分以上は入れられず、水深6メートルのナイロンの網でできた生け簀(いけす)に移されました。その生け簀から、バスは72時間後にリリースされました。

その72時間以内に、22%のバスが死亡しました。生きエサで釣られたバスの死亡率とルアーで釣られたバスと比べてもほとんど変わりはありませんでした。

最初のミッションでは、生きエサで釣られたバスの死亡率は13%でしたが、ルアーでは23%でした。 2回目のミッションでは、それぞれ28%と23%でした。

ただし、その死亡率はフックが引っ掛かった場所に関連していました。

喉に引っ掛かったものが48%、えらに引っ掛かったものが17%、口に引っ掛かったバスは20%でした。

喉に掛かったバスの割合は、ワームで釣れたものが最も高かった。

出血も重要でした。捕獲された240匹の魚のうち、19匹が出血していることが観察され、そのうち9匹(47%)が死亡した。

喉に掛かったバス(48%)とエラ(50%)の出血は、口に掛かったバス(1%)よりも多く観察された。

喉にフックが刺さった21のバスのうちの16はラインを切り、フックをそのままにしました。このバスのうち8本(50%)が死亡しました。また、喉のフックが外された5本(40%)のバスのうちの2本が死亡しました。

興味深いことに、すべての魚について、魚が大きくなるほど、死亡率は低くなりました。

リリースバスの行き先

引用文(タップすると開きます)
Texas biologists have also looked at dispersal — where do largemouth bass go after being released at the end of the tournament day. A total of 12 studies were done over a 23-year period in lakes and rivers. In some studies, the fish were tagged with plastic tags before release. In others, the fish were fitted with radio transmitters and electronically tracked. Only 14 percent of the bass in the studies returned to their capture area. On average, 51 percent stayed within one mile of where they were released. The length of time after release did not affect their rate of return to the capture site. In general, if they didn’t return to their capture site quickly, they didn’t return at all. The longest distance a bass dispersed after release was 5.6 miles. Bass tended to disperse more in rivers than lakes. Once released, an average of 22 percent of the fish were recaptured by other fishermen during the periods of the studies, which averaged nine months. One biologist concluded that one reason so few fish dispersed to their capture sites was due to the effects of tournament capture and handling. The 23-percent death rate for released bass suggests, he said, that released fish are not in the best condition. Recapture of released tournament fish must also be considered. About 5 percent of bass caught die during the tournament, with another 23 percent dying after release — for a total mortality of 28 percent. After release, 22 percent of these fish are caught again. If they are caught in another tournament, they will suffer another 28 percent mortality. Of course, if they are caught by anglers who keep their catch, mortality will be total. As a result, the biologists have recommended against releasing black bass at sites that have easy access and high fishing pressure. B.A.S.S. tournaments do use release boats to release fish away from tournament sites, not always the rule at local tournaments.

テキサスの生物学者は、リリースバスの分散についても調査しました。ラージマウスバスはトーナメントの終わりにリリースされた後、どこに行くのでしょうか。合計12の研究が23年間にわたって湖と川で行われました。

いくつかの研究では、バスがリリースされる前にプラスチックのタグを付けられました。他には、バスに無線送信機が取り付けられ、電子的に追跡されました。

調査では14%のバスが釣れたエリアに戻りました。平均すると51%のバスがリリースされた場所から1.6㎞以内にとどまっていました。

リリース後に経過する時間の長さは、釣れた場所への帰還率に影響を与えませんでした。一般的に、リリースされたバスがすぐ釣れた場所へ戻ろうとしなかった場合、まったく戻ることがありませんでした。

リリース後のバスが分散した最長距離は約9㎞でした。

バスは湖よりも川で分散する傾向がありました。リリース後、約9か月の調査期間中、平均して22%のバスが他のアングラーによって釣られました。

ある生物学者は、釣られた場所に戻るバスが少ない理由の1つは、トーナメントでのバスの取り扱いの影響によるものであると結論付けました。リリースされたバスの23%の死亡率は、リリースされたバスが良い状態ではないことを示唆している、と言います。

トーナメント期間中にリリースされたバスが再び釣られることも考慮されなければなりません。トーナメント中に約5%のバスが死亡し、リリース後はさらに23%が死亡しました。合計死亡率は28%です。

リリース後、これらのバスのうち22%が再び釣られます。彼らが別のトーナメントでも釣られた場合、そのバスはさらに28%上乗せの死亡率に苦しむことになります。もちろん、そのバスがキーパーサイズだった場合、死亡率はその合計になります。

この結果、生物学者は、アクセスが簡単でフィッシングプレッシャーが高い場所ではブラックバスをリリースしないことを推奨しています。B.A.S.S.の行うトーナメントではリリースボートを使用してトーナメント本部からバスをリリースしていますが、ローカルトーナメントでのルールは常に層とは限らないためです。

【徹底調査】バス釣りにおけるキャッチアンドリリースの生存率は?
B.A.S.S.のリリースボート / Photo by louisianasportsman.com

大変残念ですが、リリースしたバスの生存率は100%ではないようです。

このデータはトーナメントに近い環境でテストされた結果のようですので、釣れたバスをそのバスすぐにリリースする場合はもう少し生存率は上がるのかもしれませんが、このテストも慎重に行われているのでしょうから、もしかしたらあまり変わりないかもしれません。

釣れたバスの22%が72時間以内に死亡したということですが、その内訳は

  • フックが喉に刺さったバス…48%
     うちラインを切ってフックをそのままにしたバスが約38%
     うちフックを抜いたバスが約10%
  • フックが口に刺さったバス…20%
  • フックが鰓に刺さったバス…17%
  • 出血していたバス…3%

ということでした。

釣ったバスのうち5本に1本は3日以内に死んでしまったことになりますが、そのうちの80%はフックが飲まれていたかエラに刺さったか出血していたということですから、実際は普通に口にフックが掛かったバスはほとんど死ぬことはないとも言えますね。

このデータから私たちがリリースしたバスの生存率を上げられるとしたら、飲まれたフックの正しい外し方をマスターすることだということが言えるようです。もちろん、リリースまでの時間を常に短くするということも重要ですけどね。

飲まれたフックの外し方についてはこちらの記事もご覧ください。

キャッチアンドリリースの考え方をはじめ、ゲームフィッシング自体もその倫理観について賛否あるのですが、釣りという行為には、スポーツという肉体的な面とストレス解消という精神的な面の両面から健康にいいことが認められています。

人間が人間らしく生きるために、私は釣りというものは必要だと思いますし、釣りがあることで私自身も保てていると実感することが何度もありました。

バスには少し申し訳ないと思うことはありますが、私を支えてくれる存在でありますから、それ以上の敬意をもって接していきたいなと思います。

みなさんはこのデータからどんなことを感じましたでしょうか。

それではまた。

毎度ありがとうございます!