北と南のスモールマウスバスの違い
冷水性と言われるスモールマウスバスですが、実際のところ、原産地の北アメリカと他の暖かい地方でのスモールの行動には違いはあるのでしょうか?
こんにちは!店長の小山です!
本日は海外サイトより、”Northern And Southern Smallmouth Bass – Is There A Difference?”という記事を引用してご紹介いたします。
引用先:shopkarls.com ”Northern And Southern Smallmouth Bass – Is There A Difference?”
もともとは北アメリカとカナダが原産とされているスモールマウスバス。
そのせいか、生態としてはラージマウスバスと比較して冷水性で、きれいな水に住むということが言われていますね。
ここでアメリカのブラックバスの歴史をざっと振り返ってみたいと思うのですが、日本の明治時代の頃、アメリカの広い国土では鉄道が盛んに敷かれていました。当時は蒸気機関車だったため、汽車を走らせるには水が必要ということで、レールが敷かれるところに流れている川を片っ端からせき止め、そこで貯めた水を汽車に使っていました。
当時からバスはゲームフィッシング、また食用の魚として親しまれている魚だったため、その貯水池の周りにできた街の住民によってバスが放流されるようになり、その動きは1950年ごろまでの急速な鉄道網の広がりとともにバスも汽車で運ばれて広がったというのが、だいたいの歴史だと思います。
アメリカで昔から人気のあったゲームフィッシュというのはラージ・スモールを含むバスたちやトラウト類をはじめ、パイク、ウォールアイ、マスキーなど、北部の魚が多かったのですが、温暖なアメリカ南部の気候にうまく適応できるのはバスだったようです。これがさらにバス人気に火をつけたようですね。
しかし、ここで事件が起こります。
この動きとともに工業と農業が急速に発達すると、各地で川の水質汚染が進みました。
このとき、川にもともと住んでいたトラウト類やほかのゲームフィッシュの多くは死んでいってしまったようですが、バスは数を減らしながらも、まあまあ生き残っていたようですね。
このようにバスは、違う環境への広い適応能力があり、水質の変化にも強く、釣って楽しく、食べて美味しいということが分かりました。この中にはもちろん、スモールマウスバスも含まれています。
あれ?スモールマウスバスは冷水性できれいな水に住むと言われていたはずですが、実はかなり広い適応能力があったんですね。(ただし、やはり水温が低く水が綺麗で流れのある北部の方が適応力があるという傾向は強く出ています)
ここから生物学者さんの間でバスの研究は進み、今では多くのことが分かっているのですが、生物学者さんの他にも、バスにめっぽう詳しい人たちがいますよね。
そうです。バスアングラーの皆さんです。
釣り人は生物学など難しいことは習っていなくても、釣りをしていて気付くことや覚えることがあります。バスのことを知りたければ、バスアングラーに聞けばいいということです。
ここで疑問なのは、意外にもアメリカ南部の方まで広がっていったスモールマウスバスなのですが、実際のところ、生態や釣り方に違いなどはあるのか、ということではないでしょうか。
この記事は、アメリカのタックルショップ「Karal’s Bait & Tackle」のブログ記事で、アメリカ全土に広がるスモールマウスの北と南での違いについてまとめられています。
非常に興味深いことだと思います。ぜひ読んでみてください。
北部のスモールマウスバスの釣り
アメリカ北部の湖には通常、 とてつもない数のスモールマウスを含む1.5〜2.5キロになる多数の魚がいます。アメリカ北部にはブラウントラウトも大量に生息しているため、スモールマウスも大きな群れを作っています。
北部のスモールマウスの住む水域は非常に深いことが多いですが、一部にはウィードが多くかなり浅いところもあります。オンタリオ湖、シャンプレーン湖、サウザンド諸島などに代表される北部(カナダ)のスモールマウスは、湖の岩の間からウィードが生えているようなところに着くことが多いようです。
アメリカ南部のスモールマウスは一年を通して浅いエリアに生息しており、8月と9月のトーナメントでも水深6メートル未満の深さで釣れています。北部のスモールマウスに比べザリガニやハゼ類を大量に食べるため、ボトムに着くことが多いです。
北部のスモールマウスは、青空が広がり太陽が高く輝く日中にバイトが出やすい傾向があり、曇りの日に釣るのが困難になります。
チューブワームのダウンショットやミノーが、北部の多くのフィールドでスモールマウスバスに有効なルアーです。北部のスモールに効くその他のルアーは、キャロライナリグ、マグナムサイズのクランクベイト、スピナーベイトです。
北部のスモールマウスに有効なルアーの一例
Photo by shopkarls.com
南部のスモールマウスバスの釣り
アメリカ南部のスモールマウスバスになるほど水の流れに着くようになるため、多くのスモールマウスバスを釣るには流れを釣る必要があります。 南部のスモールも石積みの護岸のようなバンク周りに住むのを好んでおり、スレッドフィンシャッドなどのベイトフィッシュを襲うためにブレイクライン上にサスペンドしています。
南部のフィールドにいるスモールマウスの個体は、通常は量よりも質が良くなります。 ピクウィック、デールホロー、パーシープリーストなどの南部のリザーバーなら2.7キロ~3.2キロのスモールマウスを釣るチャンスがあります。
南部のスモールマウスバスは、天気とそのリザーバーの流れの量に依存しています。流れがあり、天気が曇りで風が強い場合、南部のスモールマウスのバイトは多くなります。
南部のスモールマウスを釣るために有効な戦術には、ミディアムクランクベイトの早巻き、グラブのスイミング、シェイキーヘッドリグ、キャロライナリグをブレイクライン沿いを通すか、またはベイトフィッシュが表層に浮いているときに使います。
南部のスモールマウスバスに有効なルアー等
Photo by shopkarls.com
アメリカは広いですから、スモールマウスの生息域の北端部と南端ではかなり生態や好みが違うようですね。
私が印象的だったのは、北部はスモール以外にも水中に天敵とも呼べる大型のフィッシュイーターが多くいるためか、スモールが群れをつくる傾向があるようだという点です。
私としては群れをつくる魚はベイトフィッシュ的な感じで、スモールマウスが群れを作るのはあくまで集団で狩りをするという、いわば頭脳的にも生態系の頂点にいるようなイメージが強かったため、これは意外な見解でした。
たしかにスモールマウスバスといえど、日常的に自分がベイトフィッシュとなりえる環境であれば、いつも食べているエサと同じように自分たちも群れを作るというのはあると思いますし、その習性が大人になっても続いているというのもあるかもしれません。
本当のところはどうかはわかりませんが、あくまでも釣り人が見た考えのひとつとしてですから、良い意見だと思います。
こういった生態の違いというのも、先に書きましたバスが広がっていくまでの歴史を知っておくと、なんとなくイメージしやすいかと思います。
あくまで魚は同じ魚であって、その場所の水温の違い、水質の違い、ベイトの違いで釣り方が変わるというだけですね。
アメリカ全体を考えてしまうと途方もなく広いため、このような違いになると考えてしまうかもしれませんが、逆に小さく考えたとしても、例えば日本の琵琶湖(充分広いですが)の北湖と南湖でも、バスの生態や釣り方はずいぶん違うもんですからね。
スモールマウスバスを釣り人の視点に立って南部と北部の生態の違いを考えてみるというのも面白いものですね。
琵琶湖の例を挙げましたが、琵琶湖はもちろんラージマウスバスの例になります。これはスモールマウスに限らず、同じ魚を別の場所で釣り比べてみた時、何か新しい発見というものはあるのではないかと思うんです。
例えば、遠征で県外まで釣りに出かけた時なんかですよね。
違う環境で釣りをしてみた結果や発見から何かの仮説を立てて、また違う時に釣りに来たときに確かめてみたり、自分のフィールドに戻って当てはめてみたり。
私たちは学者ではありませんから、正解しなければいけないということはありません。
地域性などでのバスの好みを知って、なんでだろうと疑問を持って、結局わからないというのも楽しいものだと思いますし、気付きや発見は必ずいつか役に立つと私は信じています。
もしみなさんも、これからまだまだ釣りを続けるという感じであれば、自分のホームフィールドの歴史、バスが住み着いた時代背景から、水質(phや透明度など)、他にどんな生き物が住んでいるかなどなど、調べてみると何か発見があって面白いかもしれませんね。
私としてはできれば、「おっ、このルアーこうやって使うとめっちゃ釣れる!」という発見ばかりしたいと思うのですが、なかなかできませんね(笑)
次はどんな発見や気づきがあるのでしょうね。
それではまた。
毎度ありがとうございます!